武者小路実篤 グッズ

武者小路実篤 武者小路実篤詩集 (新潮文庫)

アメニモマケズの賢治の愚直さも好きだが、実篤の愚直さはもっと好きだ。正直いってあまり彼の作品を読んだりしたことが無かったが、この本をよんで本当に感動した。愚直と書いてしまったが、素直でシンプル、どんなに苦しくてもどうにか自分をポジティブに持っていこうとする姿勢。いま、どうにもならないほど落ち込んでいる人にぜひ読んでほしい。この本はそういった人を救ってくれる力がある。 武者小路実篤詩集 (新潮文庫) 関連情報

武者小路実篤 人生論・愛について (新潮文庫)

 自然主義の芸術に抗し、理想主義や道徳を標榜する白樺派の中心として、志賀直哉らと共に活躍した文豪武者小路実篤の随筆・評論集です。ちなみに本書の題字は実篤の筆だそうです。その人柄が実によくにじみ出た、恬淡でかつ丁寧で、つよい一徹さを感じさせるいい字だなと思います。 内容としては、表題の「人生論」「愛について」の他に「新しき村に就いての対話」「東洋と西洋の美術」「人類の意志について」「画と文学」など、計15テーマの随筆・評論が収録されています。多産で幅広い実篤の作品の中からバランスよく選んであるのではないかと思います。ただ、この新潮文庫のものは文字が小さい仕様なので、少し読みにくい人もあるかもしれません。お気をつけください。 私はある程度はっきりした流れの見える小説作品『友情』や『真理先生』の後にこちらを読んだので、随筆は全体に内容に重複が多く、やや訥々としすぎて冗漫な印象も受けましたが、全編実に実篤らしい楽観主義に満ちており、強い信念に裏付けられたその前向きな姿勢に元気付けられました。 「根と実」や「花と人間の美しさ」など、何でもない日常の中での所感を綴った短い随筆なのですが、実篤はひとと同じ風景を見ても、その現象の「奥にあるもの」にまで観察の糸をググッと伸ばして思索をし、そこから独自の考察と表現をしており、一流の文学者はやはり違うなあ・・と思わせられました。 また「人生論」には人生の良き先達からの温かな助言が詰まっており、「幸福をつかむのを恐れるな。だが不幸を又ごまかすな。正面から耐えて進むのが、若者らしい」等、励まされる名言だらけです。ふと気づけば私はトルストイ門下の方にはお世話になることが多くて、ロマン・ロランにも随分励まされましたが、実篤にも大変勇気付けられます。感謝。 個人的には、実篤入門書としては本書をあまりお勧めしません。随筆や評論では、実篤の本領がどうも伝わりきらないように思うからです。ですので出来れば小説をいくらか読まれてから読まれることを推奨いたしますが、こちらを先に読みたい方は、もちろんご随意に。  人生論・愛について (新潮文庫) 関連情報

武者小路実篤 友情 (岩波文庫)

「友情」「恋愛」なんて・・と,いまどき・・なんて勝手な先入観を持ちつつ,実はまともに純文学を読んでいない自分自身の方が随分恥ずかしいと思い,手に取りました。この本の題名である「友情」はこの本の中の重要なキーワードであり,そこに「恋愛」という軸が絡みあう,と感じるのも一つの読み方だと思います。でも,中盤で出てくる,「神」に対する議論が実は重要な柱となっているのではないか,私はこのシーンが強く印象に残っています。野島が哲学的に一生懸命解説するシーン,その熱弁ぶりはとても誠実で,個性的で,それが最後の「これが神から与えられた杯ならばともかく自分はそれをのみほさなければならない」と大宮への手紙につづり,「自分は淋しさをやっとたえて来た。今後なお耐えなければならないのか,全く一人で。神よ助け給え」と自身の日記につづってるのです。現代人であれば,『運だから仕方ない』といったような,当たり障りのない,かつ,便利な言葉でさらっと流すところかもしれない。それを『神から与えられた杯をのみほす』という風に表現するところなど,なんとも,粋な人間,粋な表現だ,生きているとはこういうことを言うのではないか,粋な人生とはこういうことか,などと私は思っています。 友情 (岩波文庫) 関連情報




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